beijing architecture

●中国の住宅開発行為の現状に触れる・・・

昨日、中国でトップ企業の住宅デベロッパー○科北京オフィスへ行きました。東三環のとあるビルのワンフロアが○科で、オフィスには、パッと見て30-40人くらいはいるようです。しかし設計部門はわずか3人しかいない、、、。
○科および関係各社との打ち合わせに同席し、実際に進行中の北京の建築開発行為を直に触れることができ、新たな驚きと発見ととまどいが、、、。

先日、○科の顧問をしている清華大学の○老師から、「ちょっと助けてくれないか？ついでに参加しないか？」と誘いがあり、昨日の午前中から○老師のオフィスで現在○科が北京で計画している高級住宅の標準平面プランの打ち合わせをしていました。
二人で頭を悩ませながら、日本の機能的なキッチン周りなどを思い描き、午後の打ち合わせに間に合うように、プランを変更していきました。ある程度のレベルのものをつくりましたが、、、まだまだ不満足の状態です。
そして、午後、○科のオフィスへ足を運び、北京で五本の指に入る建築設計事務所、中○院の担当者、そして内装設計を請け負う会社の担当者が出席し、平面プランの打ち合わせが始まりました。
まだまだ不満足である午前中の平面プランを恐る恐る提示すると（○老師は堂々と）、、、。
すぐに、、、「これいいねぇ～」ってあっという間に採用の雰囲気。
中○院および内装設計会社の提示してきたプランは、○科から先日配られた大枠のプランをそのまま焼き移しただけであり、新たな提案やよりよいプランの提案など何一つありません。そのため、○老師が提示したプランが非常に新鮮に見え、あっという間に採用となってしまいました。
・・・この打ち合わせの流れを見てて、呆然としてしまっていました、、、

その様子を見て老師曰く、「これが中国の現状なんだ。誰もいい空間やいいモノを知らない。何がよくて何が駄目なのかの判断基準をみな持っていない。あまり外のモノを見た機会も少なく、デザインした経験も少ない。私は研究で実際に使われている空間をいくつも調査し、また大きな計画から、内装設計まで一通りやっている。だからいろんなことに気がつけるんだ。」と、、、。

日本で言うところの建築家といわれる存在がいないようです。ただ建築士という顧客の希望をそのまま空間化するだけの技術者ばかり、、、。
中国語で建築家は「建筑师」であって「建筑家」ではありません。日本の建築家がそのまま当てはまるわけではないのを初めて実感しました。

打ち合わせの最後に、外部空間の計画の話になりましたが、また別の会社に任せており、それも何パターンか作らせているそうで、現在、どのような完成度になっているか把握できてないとのこと。また立面のデザインが8種類ほどプロジェクターで移され、ひとつひとつ批評をしていました。話によると、アメリカのデザイナーに頼んでいるらしい。批評の内容が、、、
「このデザインはカッコいいけど、今回の平面プランでは、合わないから無理だね。」
「このデザインは面白い。でも構造的にお金がかかるし、とても乱雑だから使えないよね。」

またまた、かなり呆然となってしまいました。

まさしく「建筑家」がいない。
ひとつひとつのデザインが分裂しています。建築とランドスケープ（外部空間）ならまだ理解ができますが、、、平面プランと立面プランが分裂し、さらに内装設計とも分裂しています。
本来デベロッパーがひとつのコンセプトのもと、建築設計会社やランドスケープ会社や内装設計会社を統括していかなければいけないと思います。しかし、デベロッパーは規模や概要などの数字だけで依頼し、それぞれに何パターンものデザイン案を作らせれて、それを組み合わせてひとつの建築を作り上げようとしています。
・・・単なるパズル？
方法として、これもひとつだと思いますが、本当にいいものを作ろうと思えば、デベロッパーがかなり賢くまた教養がないといけないと思います。そうでなければ単なる金儲けで終わってしまいます。

清華大学の○老師は「残念だけど、中国で住宅開発のトップ企業の○科、北京で五本の指に入る中○院でこの状況。。。しかし、だから私のような人が必要とされるのね。」と、、、。

中国の現状を目の当たりにした一日でした、、、。