2005年12月08日

●震度4で北京壊滅

日本では耐震強度偽装問題がホットな話題となっています。建築関係者の一人として、こうしたことは氷山の一角なのではないかと想像しています。日本の建築基準法は200年に一度起きるかもしれない大地震に耐えうるよう強度設定をしているといわれ、わずか60年しか持たないような鉄筋コンクリート構造にその強度を持たせています。建築関係者の中にそうしたことにコストの浪費、矛盾、無駄を感じる人もいるでしょう、、、。(→訂正 がいたということでしょうか。)

ひるがって北京の建築はどうでしょうか?
日本の建築関係者が中国の建築を見て、まず注目することのひとつに、「柱細すぎ、壁なさすぎ」っていうのがあります。
地震が非常にすくない北京だからこその構造であるわけですが、まったく地震が無いわけではありません。また建築現場では、日本でさえこうした偽装が問題になっているわけですから、中国ではもっとひどい状況が容易に想像されます。

さてさて、北京はいったいどのくらいまでの震度に耐えられるのでしょうか?清華の老師に質問したことがあります。その老師によれば、「計算上では、自立し風圧に耐えられるように設計しているため、地震のことはそれほど想定しておらず、震度5くらいで小さな建物は倒壊するだろう」とのこと。あくまで計算上での試算であって、施工現場の手抜きを考慮に入れれば、震度4でかなりの被害がでるのではないかと勝手に想像します。

まぁ、しかし、、、フランスの元大統領ポンピドーが訪中した時のことを日記に次のように記していますからね・・・。
ポンピドー「ソ連からICBMを大量に買ってるようだが、アメリカとの全面戦争を、本気で考えているのか」
毛沢東「場合によっては、実行する」
ポンピドー「実行すれば、中国人民にも膨大な数の死者が出るぞ」
毛沢東「この国は人間の数が多すぎる。二、三千万死んだところで問題はない。」
ポンピドー「………。」
こんな感覚の指導者ですから、地震で大勢死のうがどうってことないのでしょう。しかし現代はすでに資本主義社会。外資によって経済発展が続くこの中国は、北京や上海が壊滅状態になったら、一気に外資が逃げ、経済が失速し、社会不安が高まり、世界の経済バランスが崩れることは避けれらないと思います。

ここ最近、炭坑事故や汚染事故など2,3日に一度の割合で大きな事故が起きています(ただ情報公開が進んだだけなのかもしれませんが)。人命軽視ではなく、社会の安定、世界経済の安定のためもっと危機管理意識を高めていくことが世界貢献になるのではないでしょうか。
世界を引っ張る中国の経済発展は、天変地異であっというまに砕ける綱渡りであることを常に意識していなければいけないと思います。

Posted by tkm at 2005年12月08日 23:42
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コメント

>さてさて、北京はいったいどのくらいまでの震度に耐えられるのでしょうか?清華の老師に質問したことがあります。その老師によれば、「計算上では、自立し風圧に耐えられるように設計しているため、地震のことはそれほど想定しておらず、震度5くらいで小さな建物は倒壊するだろう」とのこと。あくまで計算上での試算であって、施工現場の手抜きを考慮に入れれば、震度4でかなりの被害がでるのではないかと勝手に想像します。


通常、風荷重が地震荷重より問題になるのは高層建築です。
そのような話をした直後に「震度5くらいで小さな建物は倒壊するだろう」と、根拠無く「小さな建物」の話をする清華大学の教授とは、一体何者なのでしょうか?

中国にも耐震設計のための設計コードはしっかりあり、北京市内の建物は、震度8(日本の震度階とは異なります)の地震に対しての設計を法的に求めています。

「震度8」がどの程度の地震なのかは、こんないい加減な請け売り話をする前に、一度中国の設計コードをご自分で勉強して把握して下さい。

私も中国在住の一級建築士ですが、姉歯建築士の問題を、「氷山の一角なのではないかと想像」して他人に伝える建築関係者の無責任さが許せません。

構造設計者は日本でも中国でも、各国の設計コードを忠実に守ることは当然のこと、さらに合理的で安全な建築を設計するべく努力を続けています。それが圧倒的大多数の姿です。

確かに、中国と日本では耐震設計の考え方は異なる部分があります。その違いが何であるかさえ理解せずに、こんな記事を訳知り書く無責任さが許せません。

Posted by Anonymous at 2005年12月11日 12:05

ご丁寧なコメントありがとうございます。
言葉足らずの補足。
老師の言葉では「唐山地震規模の地震が起きれば、80年代以前の小さな建築は震度5くらいで倒壊してしまうだろう。それ以前は地震というより自立し風に耐えられるように意識していたから。唐山地震以降から法整備が整い、徐々に厳しくなっているから大丈夫だ。」というようなことを会話しました。
現実はどうでしょう。
先日26日に発生した江西省の地震。マグニチュード5.7の規模に関わらず、死者14人、8千人以上が負傷、倒壊家屋1万8千戸、280万人が被災。建物被害が甚大です。これが北京だとどうなるのでしょうか・・・。

さて、、、
確かに、私は日本の構造設計者の現実を知りません。もちろん多くの設計者が、忠実に設計コードを守っているものだと信じています。が、日本でさえそうした偽装や手抜きをする人がわずかでもいるのならば、中国でも(特に建設現場では)それ以上にあるのではないかといくつかの現場を見てきた結果、容易に想像してしまうことを記録したかっただけです。
たまたま私が出会った施工会社がひどかったのでしょうけど、それこそ氷山の一角のようにしか感じませんでした。

Posted by TKM at 2005年12月11日 14:50
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